2015年1月26日月曜日

「きちんと学ぶ 味覚の基本 第1回 (全10回)」

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Q.1  すいかやおしるこなど、甘いものにひとつまみの塩をふりかけたり、入れたりすると、甘みが増すということを何と呼ぶでしょうか。

①対照
②刺激 
③対比 
④逆転






正解:③対比

解説
ひとつまみの塩を甘いものにいれることで、甘みが増強することを「対比」と呼びます。質の異なる刺激を同時に与えた時に一方の質の強度が強められる現象です。







Q.2 食事が終わった後に、デザートのような甘いものだったら食べられることを“別腹”と呼びます。この“別腹”の原因となる現象はなんと呼ぶでしょうか。

①変異的感覚満腹
②別味覚的空腹感覚
③感覚特異的満腹
④中枢麻痺的感覚





正解③感覚特異的満腹

解説
食事の味付けの主たるものは、うま味、酸味、塩味などとなります。ある一定量食事をすることで、この味そのものに関して、満足し、順応してきます。つまり味覚的にある種の刺激、魅力のようなものを感じなくなります。このことを“感覚特異的満腹”とよびます。この味に対する順応“感覚特異的満腹”と全くことなる甘い物に関しては満腹した状態ではなくなるため、甘い物は美味しく別腹として食べることができるのです。



Q.3 砂糖と人工甘味料、どちらも甘く感じるのにはある分子中の構造をもっていることが理由の一つと考えられています。その分子中の共通構造の組み合わせで正しい物を選びなさい。


①水素供与基AH 
②水素供与基AHと水素受容基
③水素供与基AHまたは水素受容基B 
④水素受容基B






正解②水素供与基AHと水素受容基B

解説 
砂糖、果糖、人口甘味料であるサッカリン、アミノ酸のアラニン。分子構造は全て違う甘味料ですが、同じように甘いのは、水素供与基AHと水素受容基Bを分子中に持っているからと言われています。ただ共通構造を持たないのにも関わらず、甘みをもつ物質も存在しており、全てがこの共通構造によるものという説明では足りない現状もあります。




2015年1月22日木曜日

「料理人なら知っておくべき“塩味”のコト 第4回(全4回)」

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 世界には食物に自然に含まれる以外の食塩を全く摂取していない人々がいます。これらの人々の間には高血圧の人がほとんど見られず、加齢とともに血圧が上昇することもないことが明らかになっています。




























世界各地で食塩摂取量と血圧を測定したところ、食塩摂取量が多い地域ほど平均血圧が高いという正の相関関係が見られます。

私たちの身体は、生理的には1日に1g程度の食塩があれば生きていけるといわれています。

先進国の多くでは実際の摂取量はその10倍以上。塩分を取りすぎると高血圧になるおそれがあると、日本はもちろん世界各国で1日の塩分摂取の目標値を設定し減塩を指導しています。


しかし、すべての人が食塩をとると血圧が上がり、減塩すると血圧が下がるというわけではありません。食塩の摂取量によって血圧が変動する、食塩感受性のある人と食塩感受性のない人がいることが分かっています。

ただし、食塩非感受性だからといって食塩を多くとっていいわけではありません。食塩は喉頭がんや胃がんに関係あると考えられており、がん予防のためにも食塩の摂取制限が勧告されています。







ストレスは食塩に対する欲求を高めるため、現代社会のストレスの多さも塩分摂取増の要因と考えられます。極端な減塩はそれ自体がストレスになってしまいます。

新鮮な旬の食材を使う、酸味やだしをきかせる、味付けにメリハリのある減塩を行うなど、おいしく減塩を続けることが大切です。


人よって適塩は異なります。QOLQuality of Life /生活の質)を高めるためにも、その人にあった塩の取り方で、豊かな食生活を送りたいものです。
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「料理人なら知っておくべき“塩味”のコト 第3回(全4回)」

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 塩味をおいしいと感じられる許容範囲は他の調味料にくらべるとたいへん狭く、薄すぎると美味しくなく、濃すぎると食べられないほどに感じます。



一般に、体液の塩分濃度0.9%と同じ程度の塩分濃度が調理の基本とされており、お吸い物や汁物はこの濃度よりやや薄目の味付けします。煮物は塩分比率が高くなりますが、これはご飯と一緒に食べることを前提に調理するからで、実際、ご飯と一緒に食べると塩味は薄められてちょうどよい味付けになります。

また、塩は味付けだけでなく、他の味とのバランスでさまざまな効果を発揮します。たとえば、おしるこに少量の塩を加えると却って甘さが引き立っておいしくなる、コンブやかつお節で出汁をとるとき塩を少量加えると旨みが増す、などです。

このように旨みや風味などを強調させる作用を「対比効果」といいます。

さらに。

寿司酢には塩を加えますが、これは塩によって酢の酸味が抑えられるからです。「塩梅(あんばい)がよい」という言葉がありますが、これも塩によって梅干しの酸味がちょうどよくなったことをあらわしています。

 このように塩によって酸味が抑えられることを「抑制効果」といいます。





 調理の順序は「サシスセソ」とよく言われます。

サは砂糖、シは塩で、これは塩のほうが砂糖よりも浸透速度が早いため、味のしみこみにくい砂糖が先、という意味です。

炒め物などでは、塩には野菜などの水分を吸い出す脱水作用があるので、水っぽくならないように最後に塩を加えます。

塩は味付けだけでなく、細菌の繁殖を抑え保存性を向上させる働きをはじめ、多彩な働きがあります。

食品の物性を変化させる働きもあり、たとえばカリフラワーやジャガイモを茹でる際に塩を入れると、野菜類の細胞膜を強固にしているペクチン酸カルシウムのカルシウムが塩のナトリウムと置換され、細胞が柔軟になるので、柔らかくゆでるこことができます。

かまぼこなどの練り製品では、塩のタンパク質溶解作用が利用され、アシと呼ばれる歯ごたえを生み出しています。粘りのあるパン生地やうどんづくりにも塩が活躍しています。 
 
魚や肉に塩をかけて焼くとたんぱく質の凝固を早め、旨み成分が外に流れ出てしまうのを防ぎます。里芋の皮をむいたら塩もみして煮ると粘りが出にくくなるのも凝固作用の一つです。


これらのさまざまな働きによって、塩は調理や食品加工に欠かせない存在となっています。

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「料理人なら知っておくべき“塩味”のコト 第2回(全4回)」

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  塩の原料は主に海水と岩塩です。岩塩は大古の海水が蒸発して堆積したもので、もとをただせばやはり海水です。








塩の製造方法は大きく分ければ、

1)海水を太陽熱で蒸発させ、その塩の結晶を得る方法、
2)海水などを濃縮し、それを釜に入れて煮詰める方法、
3)岩塩の採掘、

になります。

日本では塩の専売制のもと、1972年以来、ほぼイオン交換膜法という日本独自の方法で海水から作った高純度の食塩のみが生産・流通していましたが、1997年に塩の専売制度が廃止され、現在は自由な塩の製造販売が可能となり、輸入塩を含めてさまざまな塩が販売されています。



 海水中のミネラル成分は3.5%程度。微量な元素まで含めると100種類以上の物質が含まれています。
 
そのなかで塩化ナトリウムは約8割弱、次に多いのが塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウムで、これらでミネラル成分の99.6%以上を占めます。







塩化ナトリウム以外のミネラル成分は苦汁(にがり)といい、豆腐の凝固剤として知られています。

苦汁が多く含まれる塩を「ミネラルの多い塩」という言い方をしますが、そもそも塩はミネラルのかたまりです。

塩化ナトリウムは舌を刺すような塩辛さですが、マグネシウムは苦味、カルシウムは甘味、カリウムは酸味があり、塩の味にそれらの成分が影響します。

にがりはその名の通り苦味があり、含有率が多すぎると味が悪くなりますが、適度にふくまれていればむしろ塩をおいしく感じさせるのです。




 



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「料理人なら知っておくべき“塩味”のコト 第1回(全4回)」

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 料理の決め手となる塩は、人が生きていく上でも欠かせない重要なものです。塩にはどのような性質・働きがあり、私たちの食生活に関係しているのか、改めて探ってみました。




 生命は原始の海から発生したと考えられています。ナトリウム、塩素、マグネシウム、カルシウム、カリウムなどのイオンに満たされた海で誕生した原始生命体は、進化の道をたどり、やがてヒトが出現しました。

こうして誕生したヒトの身体は、約60%が水分です。このうち3分の2は細胞内に存在し細胞内液と呼ばれ、残り3分の1は血液と細胞間を満たしている体液で合わせて細胞外液と呼ばれます。

この細胞外液には、ナトリウムや塩素など海水にとても似た構成比の成分が含まれています。60兆個あるといわれる人間の細胞は、いわば細胞外液という海に浮かんでいるのです。

細胞外液と同じく、細胞内液にもミネラルが含まれていますが、細胞内液の主なミネラルはカリウムで、細胞外液の主なミネラルはナトリウムと塩素です。

これらのミネラルが常にバランスをとりながら細胞内外の浸透圧を調節し、浸透圧の作用で栄養が細胞内に取り込まれ、また反対に細胞内の老廃物を細胞外に排出しています。

細胞膜を通したこのような物質の循環によって身体は機能し、生命活動が維持されています。

細胞外液の水分量と浸透圧を一定に保つため、体内には常に200g近くのナトリウムと塩素、つまり食塩が保持されています。


浸透圧以外にナトリウムは、体液のpHを一定に保ち、神経の伝達、筋肉の収縮などにも関与しています。また、塩素は胃液中の塩酸の成分として重要な役割も担っています。

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2015年1月5日月曜日

「今さら聞けない“甘味”のコト 第4回(全4回)」

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「あまり甘くなくておいしい」という言葉が、ケーキやデザートなどに対するほめ言葉としてすっかり定着しています。最近は甘さ控えめがトレンド、それを裏付けるように、上白糖、グラニュー糖などの砂糖類は、市場規模の縮小傾向が続いています。





 













 一方、家庭用甘味料市場でシェアを伸ばしているのが、低カロリーや虫歯になりにくい(非う蝕性)、腸内環境を整えるといった健康的付加価値のある新甘味料です。

低カロリーの新甘味料には、砂糖の200倍の甘さを持つステビアやアスパルテームなど、甘味が強く結果的に使用量が少量のためカロリーが抑えられるものと、糖アルコールのエリスリトールなど、体内で吸収・分解されにくいためにカロリーにならないものの2つのタイプがあります。エリスリトールは文字どおりノンカロリーです。

新甘味料は砂糖と異なり虫歯の原因菌に利用されませんが、糖アルコールのキシリトールでは、さらに虫歯の原因菌の活動を抑制する働きもあるといわれています。キシリトールは溶けるときに吸熱反応が起こるので、口の中で爽やかな冷涼感も得られ、ガムやキャンディーに利用されています。

消化吸収の際にブドウ糖が生成されない糖アルコールは、インスリンの分泌もないので、カロリーコントロールの必要な人のほか、糖尿病、肥満症用の食品に広く使われるようになっています。

日本での開発が進んでいるのが、フラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖などのオリゴ糖系の甘味料です。ほとんど消化吸収されることなく腸に届き、ビフィズス菌など腸内善玉菌を増やす働きがあります。


甘いものを避けようとするとストレスが発生し、心理的にも負担が生じます。ダイエットやカロリーコントロールが必要な人にとって、甘味を楽しみながら健康な食生活を送れるこれらの機能性甘味料の登場は朗報といえるでしょう。



「今さら聞けない“甘味”のコト 第3回(全4回)」

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 人の生命活動のエネルギー源として重要な栄養素は、ブドウ糖です。ブドウ糖は、いわば自動車のガソリンに当たる人体の燃料で、血液中のヘモグロビンによって運ばれてきた酸素と反応して燃焼し、その際にエネルギーを生み出しています。




















脂肪も燃焼されて運動のエネルギー源となりますが、神経細胞は細胞内にエネルギー源を蓄えておくことができないため、脳などのエネルギー源になるのは血液中から取り込むブドウ糖だけです。人体が消費するエネルギーの約20%を消費している脳は、ブドウ糖の供給がなくなると数分でその機能を失ってしまいます。

人体組織中には糖質はわずか3%以下しか含まれていないため、糖質は食物から摂らなくてはなりません。食物による摂取エネルギーの60%程度は糖質から摂ることが好ましいといわれています。

また、神経活動が行われる際にブドウ糖が使われることから、血中にブドウ糖が豊富にあると記憶力が増す、といった実験結果も報告されています。さらに、ブドウ糖や砂糖などの甘味物質は、鎮痛や快感作用の効果を持ち、ストレスを解消し安らぎを覚えさせてくれるといった報告もあります。


 血液中のブドウ糖濃度である血糖値は、常に一定になるように保たれています。食事の直後にはブドウ糖が補給されるので血糖値は上がります。これを下げる働きをするのがインスリン。血液中に増えたブドウ糖に反応して、膵臓から分泌されるホルモンです。

このインスリンを膵臓が適正に分泌できない、あるいは、インスリンが正常に機能しなくて、血糖が恒常的に高くなるのが糖尿病です。糖尿病は、生活習慣病の代表的な疾患で、過食や運動不足などが要因と考えられています。

食後の血糖値の上昇を示す指標をグリセミックインデクス(GIGlycemic  Index)と呼びます。この値が低い食品ほど食後の血糖が上昇しにくく、糖尿病を起こしにくいといわれています。グリセミックインデクスの値を見ると、砂糖はそれほど高い値ではないことが分かります。

糖尿病や肥満によるさまざまな症状を持つ人でなければ、砂糖の摂取をきびしく制限する必要はないようです。

ただし、甘いものばかりを食べると、血糖値が上昇して満腹感は得られますが、他の食べ物が食べられなくなるので、必要な栄養素を摂取できなくなってしまう恐れがあります。

糖質が有効にその機能を発揮するのはたんぱく質やビタミン・ミネラルなどが補強し合った時。糖質以外の栄養素をバランスよく摂取することが大切です。



「今さら聞けない“甘味”のコト 第2回(全4回)」

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 砂糖は化学的にはショ糖と呼ばれ、ブドウ糖と果糖が結合したものです。ブドウ糖と果糖はそれ以上分解されない単糖類で、これが結合したショ糖は二糖類に分類されます。単糖類が数個結合したものをオリゴ糖、単糖類が多数結合したものを多糖類といいます。一般的に単糖類、オリゴ糖は甘味がありますが多糖類には甘味がありません。














糖類は種類によって、甘味の強さ、甘味を感じる時間の長さ、温度による変化に違いがあります。砂糖は温度にかかわらず甘さがほぼ一定ですが、果糖は低温では甘く、高温では甘さが減少します。フルーツを冷やして食べると甘さが増しておいしくなるのはそのためです。


 日本料理で砂糖は、甘辛く煮込んだお惣菜や照焼き、三杯酢、すき焼、酢飯など、なくてはならない調味料です。西洋料理では砂糖はあまり使われませんが、お菓子やジャム作りなどには欠かせません。

さまざまな料理で砂糖が使われるのは、単に甘味をつけるのだけが目的ではありません。甘味には、他のどの味とも調和し、多様な味を作り出す性質があるためです。醤油と砂糖の甘辛い味付けは、砂糖の甘味が塩味の刺激を適度に緩和します。甘味と酸味は、お互いの味を緩和させ、穏やかで柔らかい甘さと酸味の味になります。

また、日本料理では表だって甘味を感じさせることなく隠し味として砂糖を使うことで、独特の風味と奥行きを作り出しています。

甘味は、味の強弱の許容範囲が広いことも特長として挙げられます。たとえば、おいしいと感じられる塩分濃度は、すまし汁で0.60.8%前後の狭い範囲ですが、砂糖は、隠し味に少量使うものから、310%程度の煮物、さらに大量に使う煮豆や餡などまでおいしく食べられます。
こうした甘味の特長が調味料としての砂糖の利用価値を高めているのです。

 砂糖が多くの料理や加工食品に利用されているのは、味だけではなく、砂糖に溶解性・吸水性・保水性・加熱変化など物理的・化学的なさまざまな特性があり、その特性が料理や食品のおいしさに役立っているためでもあります。

砂糖の保水性は、腐敗を防止するほか、デンプンの老化防止や油脂の酸化防止にも役立っています。保存食品であるジャムには砂糖は欠かせません。それは防腐効果があるためだけでなく、砂糖が果物中のペクチンをゲル化してゼリー状に固めるからです。

照焼きなどの調理では、砂糖が加熱によってアメ状になって照りができ、おいしそうな焼き色も生み出します。砂糖は加熱によってその状態が変化し、約105℃で粘性を帯びたシロップ状になり、130℃ぐらいからアメ状になり、さらに150℃ぐらいになると褐色にカラメル化します。照焼きなどでは、醤油に含まれるアミノ酸とメイラード反応を起こして、茶褐色の焼き色と香りが醸し出されます。


その他にも砂糖には、イーストの醗酵を促進したり、乳化を促進し泡立ちを保持する働き、たんぱく質の凝固抑制作用など、さまざまな性質があります。これら砂糖独特の性質は、お菓子作りをはじめ、さまざまな食品加工に利用され、食生活に潤いをもたらしています。




「今さら聞けない“甘味”のコト 第1回(全4回)」

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 甘味は万人に最も好まれる味。そして、甘さを生み出す砂糖は、さまざまな料理や食品に使用され、多様な味の世界を生み出しています。しかし、一方では、健康志向やダイエット願望から、甘味や砂糖に対してマイナスイメージも存在します。改めて、甘味や砂糖が、食品のおいしさにどのような影響を与えているのか。健康とどのような関係があるのかを探ってみました。






















 甘味は年齢、人種、性別を超えてだれにでも好まれる味です。子どもにとって甘いものイコールおいしいものであり、大人でも疲れたときには甘いものが欲しくなります。それは甘味が、消化吸収が速くて即効性のエネルギー源になる砂糖など糖類のシグナルになっているからです。


糖類は炭水化物とも呼ばれます。植物は、太陽のエネルギーを利用して、光合成によって炭酸ガスと水からデンプンなどの炭水化物を作ります。できた炭水化物は、多様な糖の形で、茎や根や果実に蓄えられて、植物の生命活動のエネルギーに利用されます。ジャガイモならデンプン、果物ではショ糖やブドウ糖や果糖、サトウキビの茎やテンサイの根にはショ糖としてたくさん蓄えられます。砂糖は、自然に存在するこのショ糖を取り出して純粋な結晶にしたものです。

 ショ糖はさまざまな植物に含まれていますが、一般の家庭で使われる上白糖やグラニュー糖などの原料となるのはサトウキビとテンサイです。どちらが原料でも精製して出来る砂糖に変わりはありません。これらの砂糖は原料からショ糖の結晶だけを取り出したもので分蜜糖と呼ばれます。

黒砂糖の場合は製法が異なり、原料であるサトウキビの搾り汁からざっと不純物を除き濃縮したもので含蜜糖と呼ばれ、ショ糖以外の成分が1525%含まれています。

砂糖は純度が高いほど上品でさっぱりとした甘さになり、他の成分が含まれるとかえって甘さが強まり風味が生じます。黒砂糖が強い甘味を持ち風味があるのはそのためです。  

さまざまな種類の砂糖は、結晶の大きさの違いや甘さの違いを活かして、用途によって使い分けられます。