2015年1月22日木曜日

「料理人なら知っておくべき“塩味”のコト 第1回(全4回)」

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 料理の決め手となる塩は、人が生きていく上でも欠かせない重要なものです。塩にはどのような性質・働きがあり、私たちの食生活に関係しているのか、改めて探ってみました。




 生命は原始の海から発生したと考えられています。ナトリウム、塩素、マグネシウム、カルシウム、カリウムなどのイオンに満たされた海で誕生した原始生命体は、進化の道をたどり、やがてヒトが出現しました。

こうして誕生したヒトの身体は、約60%が水分です。このうち3分の2は細胞内に存在し細胞内液と呼ばれ、残り3分の1は血液と細胞間を満たしている体液で合わせて細胞外液と呼ばれます。

この細胞外液には、ナトリウムや塩素など海水にとても似た構成比の成分が含まれています。60兆個あるといわれる人間の細胞は、いわば細胞外液という海に浮かんでいるのです。

細胞外液と同じく、細胞内液にもミネラルが含まれていますが、細胞内液の主なミネラルはカリウムで、細胞外液の主なミネラルはナトリウムと塩素です。

これらのミネラルが常にバランスをとりながら細胞内外の浸透圧を調節し、浸透圧の作用で栄養が細胞内に取り込まれ、また反対に細胞内の老廃物を細胞外に排出しています。

細胞膜を通したこのような物質の循環によって身体は機能し、生命活動が維持されています。

細胞外液の水分量と浸透圧を一定に保つため、体内には常に200g近くのナトリウムと塩素、つまり食塩が保持されています。


浸透圧以外にナトリウムは、体液のpHを一定に保ち、神経の伝達、筋肉の収縮などにも関与しています。また、塩素は胃液中の塩酸の成分として重要な役割も担っています。

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